アカデミックプラザ
言語化しづらい感覚を浮き彫りに!ランキング手法で解き明かす農産物の傷と曲がりに対する認識
- 口頭発表あり
2024年06月07日(金)11:10~11:40
テーマ
衛生対策・品質管理(殺菌、洗浄、異物除去含む)
研究機関名
北海道大学大学院農学研究院 食品加工工学研究室
代表者名
小関成樹
発表概要文
この研究は、青果物の選別に関する問題に焦点を当て、人が農産物の傷や曲がりを判断するときに何を見るかを明らかにすることを目的とする。通常、青果物の選別は熟度や外観に基づいて行われるが、細かな品質判断には人間の感覚が大きく関わっている。この人間の主観に依存するプロセスにはばらつきがあり、市場価値の一貫性に影響を及ぼす可能性があるため、官能評価において人がどの要素に注目しているかを明らかにすることが重要である。 本研究では、2021年8月に北海道で収穫されたミニトマトと、2023年に同じく北海道で収穫されたサツマイモを用いて、官能評価を行い、品質と曲がりの程度に基づく順位付けを実施した。省力化のためにWebアプリケーションを開発し、パソコンの画面上で官能評価を実施した。評価の結果、ミニトマトでは傷ではなく、ミニトマトの大きさに対する傷の面積比が品質評価に大きな影響を与えること、サツマイモでは曲がりの程度が「曲線長と直線長の比率」によって高い相関を示し、局所的な曲がりよりも全体的な曲がりが重要であることが明らかになった。この研究は、ミニトマトとサツマイモの品質評価における人間の着目点を明らかにし、小さなサンプルセットを繰り返し順位付けする新しい官能評価方法を提案した。これにより、より精度の高い製品選別が可能となることが期待される。