FOOMA JAPAN 2024

FOOMA JAPAN 2024 〜世界最大級の食品製造総合展〜 | 一般社団法人 日本食品機械工業会主催

アカデミックプラザ

粉砕・造形・培養による未利用食材のアップサイクル技術

テーマ

フードテック(代替食品など)

研究機関名

筑波大学 生命環境系 農産食品加工研究室

代表者名

北村 豊

発表概要文

 人口増加に伴い食料供給不足が懸念される中,流通余剰・規格外・新規食材の有効活用が求められている。  新たな食材の利用には,見かけの悪さやネオフォビアによる抵抗感がある。  下記1,2の技術開発を通じてこれらの食材を無理なく活用することが環境保全・資源循環の解決に寄与する。 1.湿式粉砕とレトルト加工による3Dフードインクの作製と物性の実験的解析  3次元フードプリンタ(3DFP)は食材を利用したプリンタであり,介護食や宇宙食,災害食などに広く応用可能である(図1)。  3DFPに使われる一般的なインクはペースト状の食材で,栄養や食味に問題はない。また,フードロス品や食用昆虫を材料に使用でき,食料問題の解決に寄与する可能性がある。しかし,従来のインク調製は乾燥粉末の水還元により行われ,労力とコストの課題がある。  本研究では,湿式粉砕とレトルト加工を採用し,湿潤食材を効率的にペースト化し,常温での長期保存を可能にする影響を調査した。  保型性と保水性が不十分な場合に,食品添加物や代替としてコメを混合することで,インクの摂取抵抗感を減少させる可能性があり,その品種と添加量が特性に与える影響も調査した(図2)。 2.麹菌体を原料にした代替肉の開発  マイコプロテインは糸状菌を原料とした代替肉で,糸状菌の特性を生かすことでエネルギー効率と土地利用効率が高まる。  麹菌(Aspergillus oryzae)は発酵食品の生産に長けており,液体培養によりその菌体自体を代替肉原料(図3)として利用する試みが進行中である。  未利用食品(図4,左から米糠,小麦ふすま,酒粕)を培地原料として麹菌体を培養し,代替肉原料としての回収量,タンパク質割合,テクスチャーに焦点を当てた調査が行われている。